028:脂(青野ことり)
| じゅと溶ける牛脂の匂い 贅沢をこれからするという心持ち |
| じゅと溶ける牛脂の匂い 贅沢をこれからするという心持ち |
| 損なわれたところそろそろ埋めてゆく気づかぬくらいゆっくりでいい |
| おひさまの光のシャワー ひと群れのすみれ つぼみをつけた紫陽花 |
| すれ違いざまに触れ合うこともなくただいまという声も遠のく |
| 二十年も前の玩具がころがって 押入れの隅 暗い夕方 |
| 泣かないよ寂しくなんかないんだと必死になればなるほど裏目 |
| 押し寄せるものをなだめて押し返す 突然のふりして降る雨だ |
| ウマクイクウマクイクって自己暗示 それとこれとはまた別のこと |
| 劇中劇のように観ているいまここで刻一刻と起きていること |
| そっくりね (二十五年後こうなるの) 電話の声とうしろ姿が |
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